# 文庫: 234 p ; サイズ(cm): 15 x 11
# 出版社: 中央公論新社 ; ISBN: 4122043794 ; (2004/06)
この本は実は、先日紹介した私が顧問建築士をしているマンションの”コミュニケーションデー”の一環として年末に行われている、大掃除と古本交換会の時に、最後に残った本の中にひっそりと紛れ込んでいた本でした。
「美しいもの」で紹介した『博士の愛した数式』や、『世にも美しい数学入門』の著者です。
小川洋子さんの作品は、不思議な文章で、ほんわりさせる力がある。結局Yはどうなったのかがよく分からなかったり、博物館やそれにまつわる話しは何だったんだ?という尻切れトンボなんですが、それはそれでいいような感じもします。もっとも「博士の愛した数式」でも「あれはどうなったの?」というような断片がたくさんありますので。それも「余白」と言うことで。
「博士の愛した数式」に比べると少し文章がまどろっこしい部分やまだ洗練されていない部分もあって読むのがしんどいところもありますが、小川洋子さんの不思議な魅力にはまってしまうのは間違いないです。
テーマ設定も独特で、耳を患った女性と速記者(男性)という組み合わせも何とも言えない雰囲気を出しています。こんな、テーマ設定ができる小川洋子さんがとっても不思議です。