世界の戦場で、バカとさけぶ

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世界の戦場で、バカとさけぶ
橋田 信介 (著), 橋田 幸子
単行本: 267 p ; サイズ(cm): 19
出版社: アスコム ; ISBN: 4776202166 ; (2004/12)

あけましておめでとうございます。波乱の2004年が終わり、波乱の予感のする2005年が幕を開けました。ホームページ、久しぶりの更新です。いいわけをするのですが、昨年末はびっくりするぐらい忙しかったのです。このページも時々更新したいと思いながら、ねたをたくさん集めてはいるのですが、なかなか時間がとれませんでした。本当言うと10月頃からとてつもなくばたばたしていました。昨年11月にベトナムに行ったことも書きたいと思いながら今日の日を迎えてしまいました。そういった話は順にしていきたいと思うのですが、今年も昨年同様ばたばたな一年になりそうです。


さて、いきなりですが、今年最初は本の紹介です。昨年末にどうしても読みたかった本を読みました。戦場ジャーナリストで、イラクで銃弾に倒れなくなられた橋田信介さんの著作を夫人の幸子さんがまとめた本です。帯にもありますが、こんなにわかりやすく私たちに必要なことを、はっきりと書いてくれていることに素直に感動し、一人の貴重な人材を失ったことに非常に残念に思いました。


そう、いま我が国はなんだかへんてこりんな感じになっています。自分のことしか考えない人が多く、相手のことを思ったり、相手の立場に立って考えると言うことが極端に少なくなってきているように感じます。家族間でもその傾向が現れてきています。建築の世界は特にこの「当たり前」のことが実に大切です。設計者が施主の立場になったときどう思うか、施工する立場になったときどうしたら望み通り行くのか、施工者が施主の立場に立ってみる、施主が施工者の立場に立ってみる、こういった作業があってはじめて「いい建物」ができます。自分の都合ばっかり相手に押しつけると、押しつけられた相手はどんどん引いていき、「仕事だからやっておこうか」という気持ちになるだけです。相手のことも考えながら「こうしたい」という気持ちを出すと、相手も「そうしたらこうしたらどうだろうか。」と親身になって相談してくれますし、考えてくれます。


なんだか簡単にできそうなのですが、本当はものすごく難しいことです。これが簡単にできるようなら世界から争いごとはなくなるでしょう。アメリカがイラクにけんか売ることもなくなるでしょう。日本がブッシュの後をへいへいついていくこともなくなり、北朝鮮や中国とも対等にやり合うことができるでしょう。兵庫県の洪水や新潟の地震への援助もきっちりできるでしょうし、NHKの受信料横領や大阪市のヤミ残業や変な手当もなくなるでしょう。それができないのが人間なのでしょう。だからこそ、できないことがわかっているからこそ、してみようと挑戦できるのもまた人間だと思います。


今年は本当にいい年になってほしいと思います。このページをお読みの皆さんにとってもいい年になってほしいと切に望みます。「世界が平和に」というありふれたフレーズではなくて、せめて「自分の隣人の立場に立ってみよう」と思う気持ちが一人一人に広がっていけばいい年になるのではないかと思う次第です。今年も全力で建築に携わっていきます。どうぞよろしくお願いします。


さいごに、この本には本当に大切なことがたくさん書いています。皆さんも興味があれば読んでみてください。またこの本の収益の一部は「橋田メモリアル・モハマドくん基金」になるそうです。