がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方

がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方 泣くな研修医 逃げるな新人外科医

私はこれまでの人生、あまり「祈る」ということに頼ってこなかった。高校はそこそこの進学校だったので同級生には医者も多いが自分自身は、医者を目指したことはなかった。って単に頭悪かっただけだけど。

医学って自分の力の及ばないところが多すぎる。私が音楽や建築設計をしているときは、自分が至らなかったと思うことはあっても、自分の力ではどうしようもない、もうすることがない、にはならない。うまくいかなかったことはすべて自分の責任であり、まだできる、まだ上を目指せる、が私が仕事や音楽を今まで続けている原点にもなっている。

ほんの10分ぐらいの時間調整で入った本屋で見つけて買ったのが「泣くな研修医」「逃げるな新人外科医」。そのあとFacebookで高校の後輩 関本 剛 医師が書いた本が出版されると言うことを知ってAmazonで購入した。

自分ができることをやったらあとは祈る、すごくシンプルだけど大切なことだと改めて思う。「泣くな研修医」でも患者さんのためにやること・できることをやり尽くしてそれでもなおまだできることはないかと先輩医師に問うたときに「祈る」といわれるシーン、そして自分が新人外科医になったときに研修医に同じ事をいうシーン、 関本 剛 医師が「祈っています」が一番力になる、という一言。

「祈る」しかない状態は重々承知であるが、祈るだけで何もできないのは歯がゆい。そのモヤモヤした気持ちややるせない気持ち、無力感は「祈る」に昇華するんだろうけど、私の性格上、祈って待つだけ、はどうも苦手である。でも今自分にできることは「祈る」しかない。