海岸列車(上)(下)

宮本輝は好きだ。

と言うことを 「彗星物語」 でも書いたので、何度も書く必要はないかと思うが、読もうと思って積み重ねていたものから、たまたま読む本が無くて読み始めてしまった本。

読み始めたらはまってしまった。

海岸列車 (文春文庫) (文庫)
宮本 輝 (著)

# 文庫: 446ページ+404ページ

# 出版社: 文藝春秋 (1992/10)

この本には「あとがき」があり、宮本輝自身が2頁にわたって後書きを書いている。
「生きるにあたって、何等かの依りどころを持っていない人はないであろう。人間は、必ずや何かを依りどころとして生きているはずである。(略)そして、いったい何を依りどころとするかで、一つの人生の方向も、その行き着く先も変わってしまうということは、またまぎれもない事実なのだと思う。」と書いている。

実に800ページを超える長編小説だが、登場人物に明確なキャラクター設定がされており、それらが巧みに絡み合っていきいきしているので、非常に読みやすい。上巻は主に「愛とは何か」を問いかけているように見える。下巻は「生きることの意味」を問いかけている。それも非常に穏やかに、かつ力強く。

非常に印象に残った部分を少し引用する。
「人間には、生と死以外に大切なものなんてないと思った。生と死をめぐって、人間の妄想が、どうどうめぐりをしている。でも、おんなじように、生と死をめぐって、奇蹟みたいな実体も動いている。」
非常に重要な登場人物である「戸倉陸離」という弁護士の言葉として書かれている。

今はまだ私の中でももやっとしているが、私もこの小説を読んで大きく考え方が変わったかもしれない、と思っている。中長期的な私の生き方を少し整理したくなった、とだけここでは書いておきたい。また時期が来たらどこかで書くかもしれない。

それぐらい、印象に残る、そして大きな意味で舵取りを変える本になりそうだ。

だから、宮本輝はやめられない:-D

最後に、あとがきで宮本輝は、
「不倫てのは、命がけでやるもんだ」
なんて書いてくれている。おもわず「にやっ」として、昨今の「下半身のだらしなさ(これもあとがき引用)」を戒める痛快さも気持ちいい。