ミーナの行進

「何の本を読んだかは、どう生きたかの証明でもあるんや。」

相変わらず不思議な文章を書きはります。

ミーナの行進

小川 洋子 (著)

# 単行本: 348ページ

# 出版社: 中央公論新社 (2006/4/22)

# ISBN-10: 4120037215

実はこの小説はいろんな事がすべて消化不良で終わっている。なんだかとてつもなく壮大な物語のほんの一部分を切り取って一冊分をまとめました、という感じである。
冒頭の文章もこの本の中の一説である。どんな本を読んだのか、というのはどう生きたのかという証である、というのはなかなか真理を突いているように思う。

確かに、生きているということは、今生きている中の登場人物や事象が最終的にどうなるか、なんてわからないわけだから、生きていくことは常に消化不良であることには間違いない。

いってみれば、私の仕事も、依頼者のある人生の一コマを「新築」したり「リフォーム」したり、あるいは「相談」に乗ったりしているのであって、それらは長い時間をかけて初めて「消化」されるのであって、その部分だけを切り出してみたら、この本のように「消化不良」であることは間違いない。

ならば、この本のようなさわやなか読後感、というものを提供できるような仕事にするのが、私たちの仕事の大切な部分かもしれません。