若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 - 城 繁幸 (著)

# 新書: 231ページ
# 出版社: 光文社 (2006/9/15)


年功序列と成果主義という対立を軸に、昭和的価値観をテーマにまとめられた書物。
若者が感じる「閉塞感」を皮切りに、「働く理由」というところまで延長されている。
でも、結局最後は「明るい未来とは本来、人から与えられるものではなく、自分の手で築くものであるはずだ。」という至極当たり前で、いまさら、あなたに言われ無くたって分かってる!と言ってしまいそうな締めで終わっている。


しかし、ひょっとしたら、多くの若者はそのことが分かっていないのではないかと、逆にこの本を読んで心配になった。また、「働く理由」という話の流れの中で、個を殺して働く姿を日本的、といって切り捨てているが、私はその点自体は日本人の美意識だと思う。


最近、労働問題を語られることが多い。社会全体が利益だけを追求し、会社には少数の高給”使う人”と雀の涙みたいな薄給の”使われる人”に分類され、使われる人が使う人の何倍も稼いで、最後に搾取されている。まさに、プランテーション状態だ。


私は年功序列制度がいいとは思わない。最もそういった世界に今まで属したことがないので、体験したわけではないが。ただ、がんばった分は今すぐでなくても報われないといけない。そうしないと社会全体のモチベーションは下がるだろう。今の人たちの閉塞感は、がんばった分が評価されないという危機感と、がんばっても評価されないんだったらがんばらない、という気持ちの表れではないかと思う。社会保障制度全てがそうである。年金も保険も支払った分の見返りが見込めるから支払うのであって(税金も広義では同じかも)、将来破綻確実と感じるものに対して支払う人はいない。


国も会社も含めた社会全体の見通し、について見直すことが必要なのではないか。同時に、がんばっても評価されないんだったらがんばらない、という考えも改めないといけないのではないか。裏を返せば、評価されるようにがんばらないといけないのではないか。


サラリーマンという実態のないカテゴリーを廃止してはいかがか?
(気が向いたら次に続く)