ルポ解雇―この国でいま起きていること (新書)  -島本 慈子 (著)


# 新書: 212ページ
# 出版社: 岩波書店 (2003/10/22)


実に鋭い目をしているなぁ。と著者島本氏に感心した。
この著書は2003年に出版されているが、2007年の今、まさに問題が表面化している。予言の書のようである。


「労働者が安心して働ける社会でないと衰退する」とは実にその通りである。安定した職場環境、会社への帰属心と愛着、精神論ではなく、そういう世の中でないと社会は安定しないのではないか。会社は当然のことながら営利目的である。それは大原則である。だからといって儲け第一で、ただひたすら儲けることばかりを考えるのがいいのか、というと違うのではないか。


会社が社会の中できちんとした目的意識と存在価値を出さないとその会社は世の中にとって必要でないのではないか。それは、労働者だって同じで、目的意識と存在価値を社会に常にアピールできる社会でないと健全だとはいえない。


なんのために働くのか、誰のために働くのか、自分の働いた結果は何に変化するのか、そういったことが社会全体から抜け落ちていっているのではないだろうか。儲けるのも大切であるが、それだけではいけないのではないか。


ルポ解雇。事実であるだけに、考えさせられた一冊です。


この記事は、「若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 - 城 繁幸 (著)」の最後に書いた「(気が向いたら次に続く)」に続いているのだろうか・・・。