政治資金規正法に触れたかどうだかで、民主党幹事長の小沢一郎及びその周辺秘書に逮捕だ、事情聴衆だが行われている。
だいたい、何となく悪いことなんだろうなぁと漠然と思いながら、本当はどこがどのように悪いのかあまり理解していない人が多いのではないかと思う。
「談合」も全く同じなのではないだろうか。もっとも「談合って何だろう?」って人もいるだろうし、「ただ単に悪いことっぽい感じはするんだけどなぁ・・・」というイメージだろう。
しかし、この業界(建築業界)は昔から、民間だけの談合にとどまらず、官も巻き込んだ談合も横行している、といっても過言ではない。
鉄の骨 (単行本)
池井戸 潤 (著)
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# 単行本: 537ページ
# 出版社: 講談社 (2009/10/8)
# ISBN-10: 4062158329
# ISBN-13: 978-4062158329
# 発売日: 2009/10/8
# 商品の寸法: 19 x 14 x 4 cm
以前このブログにも書いた「空飛ぶタイヤ」と同じ作者である。
なかなかおもしろい作品である。Amazonのカスタマーレビューでも高い評価を得ている。
話はゼネコンの現場社員であった主人公平太が、業務課という談合をとりまとめる課に配属されることから始まる。そこで談合に疑問を持ちながらも、一方でその仕組みを理解しながら手を染めていく主人公。
話の軸は、ゼネコンの土木工事に絡む談合、そのフィクサー(黒幕)、政治家とそのブレーン、検察、都銀に勤める主人公の彼女とその銀行、彼女の同僚で仕事のできる先輩、といったところか。
私はなんだかんだ言いながらこの業界にいますので、ゼネコンの手法や談合については知らないわけではありません。実際に「談合は必要悪だ」という人もこの業界にはいます。
本書は談合といういかにも日本的な発想が今の日本のガンとなっていること、それを断ち切るためにはどうしたらいいか、などを書きたかったのではないかと感じる。自由競争で利益が確保できなければその会社は存在悪になるのではないかと私も思います。
無駄なたたき合いは何も生みません。私は常に施工業者さんと仕事するときは、「きちんと利益を確保してくださいね。」といいますし、「利益が確保できなければ降りてくださいね。」といいます。建築主である依頼者にもきちんとそのことを伝えます。赤字をしてまで受けてもらっても、後から困るのは依頼者なのですから。
だからこそ、コスト管理というのはとても大切な建築設計事務所の仕事なのです。必要な業者の利益を確保した上での適正なコスト感覚を持っていないと共倒れになってしまいます。
最も、本書で扱われるような2000億の地下鉄工事、とか言われても
イメージできませんが(^^ゞ
しかし、私がこの本の中で最もやきもきしたというか、いらいらしたのは、都銀に勤める主人公の彼女萌ですね(笑)。主人公の同級生平太にいらいらしながら、その状態を中途半端にして、できる銀行マンの先輩に羨望からつきあって結婚間近までいってしまうという展開。最終的にどうなったかはネタバレになるので、書きませんが、「女ってずるいなぁ」とつくづく思ってしまう。確かに、心情の変化などはリアルにかかれている感じがするし、実際にこんな風に考えるんだろうなぁと思いますが、個人的には非常に許せない感じです。結局、平太も萌も未熟なだけなのですが、社会人5年目(だっけ?)なら30間近だぞ。あまりにも未熟じゃないかと思うし、平太にわかれた方がいいぞ、と言いたくなってしまいます(笑)
って、余りストーリーに関係しないところであつくなってしまいましたが・・・