世間は狭い

「友達の友達はみな友達世界に広げよう友達の輪」というのが昔あった。(ちと古い?)

何気に知り合った人が知り合いの知り合いだったり、結婚式に行くと全然関係ないつながりで知人が出席していたりと、世間は狭いと感じることを皆さんも経験したことがあるはずだ。

「スモール・ワールド現象」という言葉を聞いた事があるだろうか。これは知り合い関係を芋蔓式に辿っていけば比較的簡単に世界中の誰にでもいきつく、という仮説である。敢て日本語にすれば(広いようで)「世間は狭い」現象である。
この概念は、社会において人間同士がどのように結ばれているのかを明らかにする概念で、6人の共通の知人の連鎖を介せば、世界中のすべての人間と間接的な知人関係を結べる、という考え方である。
例えば、自分に20人の知人がいるとして、その知人にも20人の知人がいるとする。これを6回繰り返すと、自分には間接的に20の7乗つまり12億8000万人の知人が存在することになる。

これを実際に実験で試した人がいる。以前、私のブログでも紹介した「ミルグラムの実験」を行ったスタンレー・ミルグラムがこのスモール・ワールド現象についても実験してる。
簡単に内容を説明すると
「ある州の住人の中から無作為に抽出した300人に手紙を渡し、直接面識のない他の州の受取人まで届けるよう依頼した。このとき、受取人の正確な住所は与えられず、郵便ではなく知人(ファーストネームで呼ぶような親しい人)経由で転送するように指示し、何人の仲介者が必要かを調べた。最終的には、42通の手紙が友人のもとに届いた。なかには10ほどのリンクを必要としたものもあったが、結果としてリンクの平均値は5.5であった。」
というものである。(もちろん何度か行われている実験の結果の一つ。)

その他にも日本の大学の実験でも以下のようなものもある。
「九州から始めて「北海道の知り合いを紹介してください。もしいなければ、北海道に知り合いがいそうな人を紹介してください」と尋ねて何人目で北海道にたどり着くかを計測した。結果は平均で7人だった。」

もちろん上記の実験は全世界的なものではないので、世界的規模で行うとリンクの平均値は上がるかもしれない。しかし、(直感の話でも直感はあてにならないと書いたが)この数字は直感的に想像するものと比べて遥かに小さいと思う。
日本規模で考えても自分から始まって無作為に選ぶ他人全てに関して知人を7人程度しか介さないとは考えにくい。

しかし、この実験は実証的に社会ネットワークの“小ささ”を明らかにしている。

今日のSNS(ソーシャルネットワークサービス)では、友達の友達というようなリンクを辿る中でコミュニティへの参加、友人からの紹介文などが簡単に参照できるようにされていて、見知らぬ相手であるにも係わらずあたかもその人物の背景や人脈(ソーシャルネットワーク)が手に取るようにわかる。この機能が常に仲間達とつながっているという常時接続感を実現し、人的関係性を増進させる仕組みとして機能している。
このようなシステムが善いか悪いかは別話だが・・・。

このブログを読まれている人も私の知り合いの知り合いの知り合いくらいなのかもしれない。
まぁ「友達の友達はみな友達・・・・」なのである。