奈良・正倉院正倉整備工事と興福寺中金堂再建工事

気候がよくなってきた9月の中旬、日本建築家協会の集まりで奈良の宮内庁が行っている「正倉院正倉整備工事(http://www.kunaicho.go.jp/event/shososeibi/)」と興福寺が行っている「中金堂再建工事(http://www.kohfukuji.com/kanjin/rebuild.html)」の見学研修会が行われました。

正倉院は天平宝字3年(759)3月以前には出来上がっていたとのことで、その後1250年にわたって建物が守られており、大正2年の解体工事から約100年を経て、雨漏れが懸念されたことから2年前から屋根の吹き替えを主として整備工事を始めています。
一方、興福寺中金堂は和銅3年710年の創建から現在まで7回もの焼失・再建を繰り返してきたとのことです。

奈良での、国宝や史跡周辺の工事は非常に慎重に行われます。時間もかなりかけます。仮設工事一つとっても、史跡を痛めるため掘り下げたりできません。木を一つ切るのも許可が必要で、何とも気の遠くなる話です。

今年は、伊勢神宮の式年遷宮があったり、出雲大社の遷宮があったり、姫路城の大改修工事が行われており、なかなかにぎやかな年回りです。

修復(復元)工事を行ったり、屋根の吹き替え工事を行ったり、1000年前はこうだったのではないかとか、現在の技術ではこうしておいたほうがいいのではないかなどと検討を重ね、作り上げていきます。建物を守っていく、使い続けていくという考え方、史跡を傷つけないように土も掘り返さず、木も切らず環境を歴史を守っていくのは、大変なことですがとてもロマンティックなことです。

私たちの住宅も適切に維持管理をすれば、1000年とは言えなくても、100年は十分に持つものです。もちろん100年間十分に使えるだけの設計と工事をしておかないといけないことは言うまでもありませんが。そんなロマンチックな設計をしたいと思います。少なくとも私が生きている間は携わった建物は壊されたくないです。

さて、その見学研修会の写真もたくさん撮ったのですが、公開ができませんので、写真を見られたい方は是非事務所に遊びに来てください。