建物も健康診断

 あなたの建物は時々健康診断をやっていますか?人間も30歳を過ぎると毎年健康診断をすることを勧められます。同様に建物もある程度は定期的に健康診断をした方がいいに決まっています。

一戸建て・ビル・マンションに限らず建物はきちんと維持管理していく必要があります。建物の維持管理のこつは、病気や虫歯治療と同じで、早め早めに対処することです。特に分譲マンションは複数の所有者がいて、何かの物事を決めるのに一つ一つ合意形成をしていかなければなりません。問題がそれほど大きくないうちに、次はこうしましょうということを決めておくとすんなり決まることが、一旦問題が大きくなると「なんで、そんなに費用がかかるのだ!」「だれがこんなになるまで放って置いた!」「以前の理事会は何をしていた!」「うちにはそんなお金はない!」などといった意見があちこちから出て決まる話も決まらなくなります。

 建物には定期的な健康診断が必要なのです。できれば竣工直後からすることが望ましいのです。竣工直後の不具合は比較的容易に販売者や施工業者などが対応してくれることが多いですし、場合によっては工事や設計の不具合ということも多いからです。また、建物の規模にもよりますが、だいたい何かしらの取り替えや修繕工事が毎年必要になります。そんなときに、今年度実施しておいた方がいい修繕や取り替え、来年度実施することを予定しておいたほうがいい工事、何年か後に計画的に実施する工事などをまとめておくことはとても重要なことです。また、その時に必要な費用をきちんとためておくことも大切です。

 ちなみに、私が相談に乗っている分譲マンションでは毎年定期総会の議案書を作成する前に「建物総合点検」を実施して、次年度の事業として工事の必要な項目や注意すべき項目を指摘し予算を組むようにしています。こういった、一回一回は小さなことでもこれが10年経ち、15年経ち、大規模修繕工事をしようとしたときに大きく効いてくることになります。
 戸建てやビルは依頼があったときになるべく建物総合点検を実施しています。

 ついでに。建物の総合点検は、見た目や防水だけではなく、給排水ガス、電気などの設備もあわせて実施することが必須です。見た目や防水は現象として現れやすく見落とすことは少ないですが、設備に関しては見落とすと大きな事故に繋がることもあり、また一旦直すとなると大きな支出が伴います。

 そういったこともあるので、建物も主治医のように継続的に見てもらい、カルテ管理をしてもらえる設計事務所などに相談するのがいいですよ。

 建物の健康診断もしっかりとしましょう。

こま設計堂 – 建物の健康診断