# 単行本: 284 p
# 出版社: マガジンハウス ; ISBN: 4838715803 ; (2005/04/14)
よく、「忙しいといいながら本を読んでますねぇ。」なんて半ば嫌みのように(!?)言われるのですが、私の場合は、忙しい時でないと本が読み進みません。忙しい時は移動が多くなるので、移動中に本を読むのです。なので、私の本を読むスピードは移動の多さにかかっているわけです。
さて、本書は31才にして「余命2年」という末期ガンを宣告された著者の小説です。著者には、「31歳ガン漂流」「32歳ガン漂流エヴォリューション」「33歳ガン漂流ラスト・イグジット」という闘病記があるが、この本は小説である。闘病記とは違う。わざわざ最後のページに「本小説は著者の病状以外はフィクションです。作中に登場する人物・団体・事件は、実在の方々とは一切関係がありません。」とただし書きがされている。著者は2005年4月17日に亡くなっている。
内容自体は、ドラックやクラブ、バイク、友人イデイの話しで展開されるが、どちらかというとアンダーグラウンドな世界を綴っている。数年前に芥川賞で話題となった、「インストール」「蹴りたい背中」(いずれも綿矢 りさ著)「蛇にピアス」(金原ひとみ著)でもそうだったが、私はこの手の麻薬・酒・たばこ・風俗・入れ墨などのどちらかというとアンダーグラウンドな世界はどうも好きになれない、というより、読んでいて気持ち悪くなる。
今の文学の世界がこっちよりの傾向だ、というのであれば、それは仕方ないし、別に私が読まなくても文学界には何ら影響は与えないのでいいだろう。この小説も作者がガンを患って書いたものだから普通の小説とは違うかな?とおもって読んでみたが、 あんまり心に響かなかった。言っていることは別に間違っていない。言い方も押しつけがましくなくむしろ好感は持てる。でも、今ひとつ読後の満足感は得られなかった。
この小説が、フィクションなのかノンフィクションなのかはどうでもいい。でも、なんかすっきりしないので、「31歳ガン漂流」シリーズを手に取ってみようかと思う。