いいわけがあまりにも稚拙でおかしい

と思いませんか?

 2004年8月9日に福井県の美浜原発でおきた「蒸気漏れ事故」です。どう見てもあれは「蒸気漏れ」といったかわいらしいものではないような気もするのですが。

 新聞やテレビでいろいろな報告がされていますが、結局の所関電のあまりも非常識な検査体制に問題があったとしか考えられません。私は原発の専門家ではありませんので、詳しいことはわかりませんが、建築でも給排水を始め、給湯やガス・消火用など様々な部位で配管を用います。その配管がきちんと維持管理されているかというのは非常に大切なことです。まして、高温高圧の液体(気体?)がその中を通るのであればなおさらです。

 関西電力は運転開始から28年間事故の起きた配管の検査をしていなかったと言うから驚きというかあきれるというか・・・。
 私たちがマンションの調査に行ったときでも、マンションの給水管(塩ビライニング鋼管)に錆びこぶが発生して破断寸前になっていたり、地中の消火用配管に電食のピンホールが開いて漏水している、なんて事はしばしば遭遇します。実際に給水管が錆で破断して水浸しになったケースもあり、そのいずれものが築 20年前後の建物です。建築の給水や消火に用いられるような配管やその圧力は原発で使用していたであろうものとけたが違うと思います。それでも不具合が起こり実際に問題が生じていることがあるのです。しかも15年そこそこで。

 問題の配管は炭素鋼管を使用していたようですから、たとえ直管であっても肉厚が薄くなる可能性は十分に予見されます。本来は10mmあったそうですが、破断面は1.4mm程度になっていたとのこと。文字通り首の皮一枚でつながっていた状態だったのでしょう。いつ破れてもおかしくない状態で運転されていたというわけです。

 私はこのコラムで、頻繁にメンテナンスの大切さを書いています。メンテナンスにお金をある程度かけることが長い目で見たコストダウンにつながるとも書いたと思います。何でもそうですが、事後処理よりも予防・対策。これが遠回りに見えて近道だと言うことを改めて認識すべきです。

 それともう一つ。コストを安くすることも大切ですが、安かろう悪かろうでは意味がありません。必要な箇所に必要なお金をかけること、適正なものを適正な価格で物づくりをすること、これが何より大切です。「こういったことをこれだけするには、これだけのお金が必要です。」ときちんと消費者に言える姿勢が肝心だと思います。値引くだけが企業の能力ではありません。