またもや宮本輝です。なんだか積み上げていた宮本輝の一掃処分みたいな感じですが・・・
何か惹かれるものがあるんですよね。なぜなのか今ひとつよく分かっていなかったのですが、巻末の辻井喬氏のコメントに「文学のなかにおける思想は美しくなければいけない。」というのがあり、「なるほど。それか!!」と合点がいった、という感じです。
そう、宮本輝の作品の中の思想は、どうしようもないぐらい美しいのです。
ちなみに、氏は「わが国の文学が衰えた最大の原因は、人々が思想に美しさを求めなくなったからではないだろうか」と語っている。

睡蓮の長いまどろみ(上) (文春文庫) (文庫)
宮本 輝 (著)
# 文庫: 304ページ
# 出版社: 文藝春秋 (2003/10/11)
# ISBN-10: 4167348152
# ISBN-13: 978-4167348151
# 発売日: 2003/10/11

睡蓮の長いまどろみ(下) (文春文庫) (文庫)
宮本 輝 (著)
# 文庫: 320ページ
# 出版社: 文藝春秋 (2003/10/11)
# ISBN-10: 4167348160
# ISBN-13: 978-4167348168
# 発売日: 2003/10/11
「宿命」をテーマに、非常に巧みに話を展開し、いいたいことを折り込められています。さすがです。昔、宮本輝は「文章が美しい」から好きだ、と思っていたのですが、最近はそれとともに「思想が美しい」のだと、気づきました。基本的に美しいものは好きです。まぁ、それだけなんですがね(^^ゞ。
この作品については、私がどうのこうの言うよりも読んでいただいた方がいいですし、それが最もこの作品を理解することにつながります。私がこちょこちょまとめたところで、氏のいいたいことを簡潔に言えるわけ無いですし、作品の魅力を伝える手助けにもならない気がします。
私はこの作品で初めて「因果倶時」という言葉を知った。どうやら仏教用語らしい。
「原因が生じた瞬間に結果もそこに生じている」という意味らしい。
蓮の花は咲いたときに既に実ができていることから、この小説のテーマになったのであろう。蓮って仏教思想の重要な要素だから、その当たりの思想をうまく絡めたということだ。
宮本輝の思想や文章が美しい、というのは、詰まるところ「映像的」にも美しいのだと思う。私も建築設計をする一人。美しさを共感できるのかもしれない。