マンション<大規模修繕の取り組み方 その1>

~イントロダクション 導入~

マンションに限らず建物は新築時が最も新しくて、年を追うごとに劣化していきます。実に当たり前の話です。建物が劣化するというのは、外壁が汚れたり、雨漏りがしたり、ポンプやエレベーターなどの設備が古くなって機能低下したり、などなどの現象を指します。

戸建て住宅であるならば、所有者(多くの場合がおとーちゃん)の貯金や仕事の具合で補修するかどうかを決めます。ちょっと小銭が貯まっているから外壁をきれいにしようか、とか今年からボーナス大幅カットになったのでしばらく見送ろうか、など家族会議をしたとしてもおとーちゃんの一言(おかーちゃんかも?)で決めることができます。

ところが、分譲マンション管理組合というのはそんなおとーちゃんが住戸数分集まった組織です。うち今月赤字なのでやめときますわ、去年から売り上げが倍増したので余裕ができたのでやりますわ、といったそれぞれの都合で補修をしたりしなかったりというのはできません。
しかるべき時期にちゃんと補修をすることでみんなの持ち物(財産)であるマンションを適切に維持管理していかないといけません。補修一つするのも管理組合の合意形成が必要になります。しかもみんなが少しずつ持ち寄ったお金(修繕積立金)を使って補修をするわけですから、不正はおろか、正しい補修方法で適正な金額で行えているかどうかのチェックもとても大切なことです。それは、一日中仕事でがんばって働いてきたおとーちゃんたちが夜また集まって理事会や修繕委員会などで内容を検討したり、金額を精査したり、業者を選んだり、ということをしていかないといけないということです。とても大変なことです。

しかし、これらのこともちょっとした「こつ」や「つぼ」を押さえることで、また同時に適切に専門家を活用することでずいぶんと楽になると同時に、住民や役員が取り組まないといけないことを少し減らしたり、効率よくすることができるようになります。

さて、マンションはものの本によると10~12年ごとに大規模修繕をしなさい、と書いているものがあります。あながち間違いではありませんが、10~12年で必ずしなければいけないというものではありません。状態がよければもっと長持ちしますし、維持管理が悪ければもっと早くに修繕工事をしなければいけなくなります。その見極めはなかなか難しく、専門家がしっかりと見なければ正しい時期というのは分かりません。

従って、マンションを適切に修繕するためには、まず今の建物の状況についてより正確に把握し理解することが必要です。誰が理解するか、当然マンション区分所有者全員です。「え~、そんな専門的なことわからへんよ~」と思われるかもしれません。だからこそ専門家に依頼するわけです。専門家に建物の健康診断(専門用語で「劣化診断」と言います)を依頼し、その専門家にきっちりと説明を受けることです。そうだから健康診断なのです。人間ドックで検査をして、その担当のお医者さんに納得がいくまで結果を教えてもらう、そして今後どのような食生活をしたらいいのか、気をつけることはあるのか、などを教えてもらう。このようなことが建物でも必要なのです。

さらに、マンションは人間ドックと違って管理組合共有の持ち物です。だから、診断結果は管理組合全員で共通の認識を持ち、全員の総意で次どうするのかを考える必要があるのです。

よく、「専門的なことはわからないから、お任せします。」と言って専門家に任せっきりになったり、理事会や修繕委員会だけで進めたりするマンションがあります。役員だけが、あるいは修繕委員だけが報告を聞いたり何かを進める上での判断をすると、現在どのようになっているのかということが住民にわかりにくくなり、ひいては住民の無関心・無責任を招きます。まして外部の専門家に任せっきりにするとどうなっているのか、どう進むのかが建物所有者である管理組合に全く分からないまま進むことになります。またこれらのことによって理事会と住民の意見が合わなかったり、対立したりすることにもなります。あなたが人間ドックに行って「体の専門的なことよく分からないから、お医者さんに任せますわ。」って言えます?

さて、専門家をいかに選んでいくのか、そこに至るまでに管理組合や理事会はどのように事を進めていけばいいのか、等について次回から話を進めていきたいと思います。