家づくりのスピード

世の中、年度末に加えて消費税率アップに伴う駆け込み需要で非常に慌ただしくなっております。

毎日私が事務所と自宅を行き来する5分程度の自転車道中にも何軒かありました。その中の一つが、大手ハウスメーカーの建てている一戸建て。昨年末に引っ越しが終わったと思ったら、今年の初めに解体。その後あれよあれよとことは進み、すでに足場はばらされ、引き渡し間近。解体からわずか2ヶ月半。なんか、早送り映像を見ているようです。

そのスピード感は実にすばらしい!と感心しますが、同業者として私は「早すぎない?」とも思います。

当事務所では、一戸建てはおおよそ5~6ヶ月の工期をとります。おそらく工務店によってはもっと早くできると思いますし、単純に費用という面から言うともっと早くすると安くなるかもしれません。ただ、その早くなる分、安くなる分ってどのくらい?とかんがえると、せいぜい1ヶ月、数十万程度だと思います。

家づくりは、家族づくりと思っています。家づくりも家族づくりもそんな簡単なモノではないですし、そんなスピーディにできるモノではないと思います。家づくりも家族づくりもそれなりに時間をかけなければいけません。いや、かけるべきです。多少の時間、多少の費用がかかったとしても、時間をかけてじっくり考えて、じっくり選んで欲しい。じっくり設計者や施工者と話し合ってもらいたい。そして納得できる建物を造って欲しい。そう思っています。

3ヶ月で建物は技術的にはできると思います。ただし、そこには建築主が途中で考えたり悩んだりする余地は与えないでしょう。そんな建物を造って後悔しない自信はありますか?