東京事務所旅行

私は10/21(土)から、一人は22(日)から、全員揃ったのが23(月)昼。
21日は台風21号の接近で大阪も少し雨模様、というより、その週は一週間ほぼ雨。
東京についても雨。21日の午後から東京もほぼ雨。22日は台風ドンピシャ。
午前中、現場に確認に行って、午後はホテルで仕事。雨なのでちょうどよかった。
ホテルで仕事して、USBに図面入れてコンビニで出力、なんてことが普通にできるから、ホテルから外に出ずになんでも片付けられる。
22日は19時頃から新幹線ストップで巻き込まれた人も多く。大阪でも大和川の危険水位を超えて、奈良と堺で氾濫した模様。自宅や事務所周辺も避難勧告の「緊急エリアメール」が配信されたとのこと。気にしながらも、東京では選挙報道一色。あとで聞いた話だが大阪も選挙報道一色だったとのことで、だいたい大勢の分かった選挙結果をダラダラ流すよりも、災害情報を報道するべきではないかと思う。

23日本格的に事務所旅行が始まるところだったが、もうひとりのスタッフが大阪から来る電車が運休。別の便に乗って東京に向かうも20?50分遅れ。予定より約1時間遅れで東京で合流。その頃東京は、台風一過で晴天。風は少し強かったけど。
最初の目的地は、六本木・乃木坂の国立新美術館(黒川紀章設計)で行われている「安藤忠雄展」。あまり混雑はしていなかった。
展示数はそこそこ多かったし、目玉は光の教会の実物大。
ところが、目玉の光の教会はどうもしゃんとしない。なんでだろうと深く見ると打ち放しコンクリートではなく、PC(プレキャスト)コンクリートだった。つまり、工場で1m×2m程度のコンクリートの板を予め作っておいてそれを現場で積み上げていったもの。
つまり組積造みたいになっているので、微妙な隙間があったりデコボコしたりする。現場で打ち込んだコンクリートとは表情が違うのは当たり前。なんとも残念な気分になるが、関西の人は茨木の本物を見ればいいわけで、う?ん、建築を展示するとはなんだろうと改めて考える。これについては、翌日の「日本の住宅展」でも同じことを考える。
その後、六本木の東京ミッドタウン内の21_21Design sight(安藤忠雄設計)に。連動企画で「安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘」(無料)と「野生展:飼いならされない感覚と思考」を見に。当たり前といえば当たり前なのだが、ほとんどが地中に埋まっている21_21の現場は大きい。個人的には「野生展」の方が面白かったが、わかる・わからないの世界ではない「感じる」世界が不思議。生物学者としてではなく哲学科としての南方熊楠の取り上げ方が面白かった。
夜は、上野御徒町のとんかつの老舗「井泉」。なかなか美味しかった。東京の友人も合流してそのまま二次会に。ホテルに戻ったのが1時。寝たのが1時半。

24日。朝から築地に寿司を食べに行く。6時フロント集合ということで3時間寝た程度。京急で東銀座から築地に。観光客も多く、活気のあるエリア。もちろんプロユースだから並びの店を見ながら、空いている寿司屋に。普通に美味しかったという寿司。
朝から散策。今まで何度か前を通っただけの築地本願寺(伊東忠太設計)に。初めて中にはいったが、寺というより教会といった様相。丁寧に積み上げられた感じが好感を持てる。この時点でまだ8時。私は一旦ホテルに戻ることに。少し気になる仕事があったので。
ちゃちゃっと片付けて、再度京急+地下鉄で竹橋へ。東京国立近代美術館(谷口吉郎設計)で「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展へ。10時オープンと同時に入った。持ち時間2時間半。合わせてもらったチケットの「所蔵作品展」(東山魁夷特集)の方が気になりつつ「日本の住宅展」へ
日本の住宅は、30?40代前半の若い依頼者が建築家戸建て住宅の設計依頼する特有事情がある、その為社会に対する強いメッセージを持っている、というのが展示のテーマ。たしかにそうだ。構成も面白く整理されていて、日本的なもの、大量生産、住宅は芸術である、開放、遊戯、エコロジー、脱市場経済、町家、隙間再構築など住宅を手がける人がみな一応に考え取り組んでいる課題だ。よく練られた構成と飽きさせない展示は流石だった。ここでも清家清設計の斎藤助教授の家の実物大模型が展示されていた。
まず、私達は建築設計に携わるプロだから図面や模型を見るだけで十分空間がイメージできるが、そんなトレーニングをしていない多くの人たちには、どれだけリアルに模型を作っても伝わらないだろうな、と思う。それは仕事でもよく経験する。まして図面では全くといっていいほど伝わらない。実は写真でも十分に伝わらないわけで、展示を見て同じ空間をイメージするのはとても難しいんだと思う。
結局建築は実物でないと伝わらない。だからといって前日の光の教会をPCで再現しても、それは違うんだ、と思う。ここは「斎藤助教授の家」の再現だが、まだ木造建築のこちらの方が伝わる。
次に、日本の住宅は特別だ、というのはその通りで、若い人が建築家に戸建住宅の設計を依頼する、という日本人では当たり前だが海外では特殊な事情がある。この状態を海外の人はどう見るのだろうか、というのに興味が湧く。日本の家は自由に作ることができすぎる。加えて所有することの特殊事情、住宅ローンに代表される最長35年に渡る”命がけ”の支払いと若い依頼者の見栄や過剰な思い入れが、歪な形になっているのが日本の住宅ではないかと思う。
あと気になったのは、やっぱり建築家の自邸・自事務所が取り上げられていたこと。結局そうなるよね、と。
最後に、音声ガイドがスマホアプリで無料であることはありがたい。内容は文字で書いているのとほぼ同じだったのでもう少しひねってほしかったが、音声ガイドは他の美術館でもこうなってくれるとありがたい。今回は無料だったが、課金してもいいかと思う。
そのあと、30分程度で所蔵展に。東山魁夷を中心に鑑賞。初期から中期の作品が中心に展示されていたので、なかなか良かった。個人的には東山魁夷の後期の作品はあまり好きではない。
昼は、竹橋から日本橋経由浅草へ。浅草の「駒形前川」でうなぎ。うなぎは美味しかったが、ご飯が今ひとつ。あと、いつも飲食店で思うことだが、箸が残念。飲食店では、いい箸を使ってほしい。口に当たるところだから食に与える印象は大きく変わると思うけどな。
うなぎ後は、上野に向かって、重要文化財「旧岩崎邸(レーモンド設計)」へ。三菱財閥の岩崎久彌3代目社長の自邸と庭園。さすが財閥、都心なのにバカでかい。それでも当初の1/3程度になっているというから驚き。建物は細かいところまでよく作られている。
その後永田町へ。国会議事堂・最高裁判所・国立国会図書館などを外から外観のみ。だんだん暗くなってくる。中でも、国立国会図書館での企画展示「挿絵の世界」に。全く前情報もなくふらっと行ったが、この一連の中で一番面白かったのではないかと思う展示。雑誌や新聞・文庫本の挿絵の歴史が一覧できる。へー、ホー、と思いながら昔の挿絵を。
その後もてくてく歩き、この日の晩御飯目的地赤坂のホテルニューオータニへ。
ホテルニューオータニのなだ万で天ぷらを。仙台の後輩や東京の知人も合流してちょっとした宴会。贅沢な時間。
その後仙台に帰る後輩を送る目的を兼ねて、新宿バスタへ。
ホテルに戻ったのが11時半。

25日はまた朝から雨。ホテルチェックアウトは10時半に。それまでホテルで仕事、コンビニで印刷。チェックアウト後、井の頭へ知人の構造事務所へ。ランチ後、下北沢へ打ち合わせ。打ち合わせ終了4時半頃。そのまま品川から大阪へ向かう。

3日+前2日の東京事務所旅行でした。