医療崩壊はもう既にいろんなところでいわれているので、私があえて論ずるまでもないのですが、個人的に昨年入院して手術をした経験上、いろいろと気になるわけです。私は約1月の入院、脳外科で腫瘍摘出手術をして保険点数でいうと120万円程度だったわけですが、冷静に考えると非常に「安い」と思います。単純に病院での直接経費、食事、3交代制の看護体制、手術、ICU、検査etcそれに要する間接経費、施設維持管理などなど、どう考えても安いわけです。たとえば、1泊1万5千円のホテルに食事をつけて1日当たり2万円だったとして、30日で60万円です。ホテルと違って関与するのは専門スタッフです。どう考えても安いでしょ(^^ゞ
医者やナース、その他の医療関係者には頭が下がります。絶対儲かっているようには見えないですからね。
こんな状況で、患者から好き勝手いわれたらたまったもんじゃありません。
そりゃいやになるでしょう。医療に「絶対安全」神話を持ち込むのも基本的に無理です。言葉遊びになりますが「安全」であれば医療にならないと思います。リスクがあるから治るのだと。手術をする、薬を飲む、ノーリスクな事などは全くありません。
以下に挙げる本はここ最近一気に読んでしまった本です。「壊れゆく医師たち」「医療の限界」「病院から医者が逃げ出すとき」「ネットで暴走する医師たち」どれもネガティブな言葉が並びます。前述の通り、私は基本的に医師に同情します。嫌になっても仕方がない社会になっていると思います。
でも、なぜこんな社会になったのか、は考えた方がいいです。権利ばかり主張して、義務を果たさない。謙虚さを持たなくなった。あるべき状態を「有り難い」と思わなくなった。他人を信用できなくなった。戦後60年にわたって平和な社会を築いてきた私達に残されたものです。
一つ一つの本の講評をするのは若干面倒なので(^^ゞ避けておきます。どれも面白いと思います。ただ、いろんな立場の人のいろんな意見があるので、医者が書いた本とジャーナリストが書いた本などは並行してお読みになた方がいいです。一方的な意見になってバランスを欠きますので。
特に、最後の「ネットで暴走する医師たち」は、賛否両論噴出しており、最後にgoogleの検索結果を引用していますが、いろんな見方のできる本です。そういった意味でも、多角的に「医療問題」を考えてみられたらいいかと思います。
医者や病院が無くなって困るのは、結局それを求めている一般市民なんですから。
岡井 崇 (著), 千葉 康之 (著), 塚田 真紀子 (著), 松丸 正 (著), 川人 博 (著)
出版社: 岩波書店
ISBN-10: 4000094181
出版社: 新潮社 (2007/06)
ISBN-10: 4106102188
米山 公啓 (著)
出版社: 筑摩書房 (2008/3/10)
ISBN-10: 4480424210
出版社: WAVE出版 (2008/12/16)
ISBN-10: 4872903838