新国立競技場の建て替え

2020年に東京オリンピックが決まったことも相まって国立競技場の建て替え問題が建築業界にとどまらず広がっているようです。この前は、お昼の情報番組でも取り上げられていました。

様々な論点がありますが、私自身は国立競技場に思い入れは無いので、建て替えようとどうしようと東京都とその周辺が良いようにしてくれたらいいのでは、と思っています。建て替え議論に対しては国立競技場に限らず、特に歴史的建造物などで保存運動がしばしばおこります。

私は、建物は所有者のものですので、所有者がその寿命を決めれば良いと思っています。従って、所有者にとって価値が無かったり、建て替えた方がより高価値になるのであれば、その選択はやむを得ないと思います。

一方で建物の設計をする立場から言うと、まだまだ使えるのであれば使って欲しい、使い方を考えて欲しい、ともおもいます。自分が設計しているときは、少なくとも自分が生きている間は、そして出来る事なら100年、いや200年は使って欲しいと思って設計していますし、それに耐えうる内容にしたいと思っています。時代に合わなくなってきたら、リフォームができるように、一度作ってしまうと後々に変えることのできない構造に関する部分は変えなくてもいいように、考えられる様々な状況を想定して設計をしています。

本当は建物の寿命は、人間の寿命よりも長いはずなので、設計者としてはそうなるように考え抜いているつもりです。もちろん、短期間の目的の建物であればそのように考えます。建て替えは、最後の選択肢にして欲しい、というのが設計者としての本音でもあります。