いきなりだが、毎日新聞のサイト(http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20090307ddlk22040202000c.html)からばっさりコピーする。(無くなったりリンク先が変わったりしたら困るので)
書類偽造:建築確認の書類を 浜松市、積水ハウス元社員を告発 /静岡
住宅の建築確認関係の書類を偽造して使ったなどとして、浜松市は、積水ハウス(大阪市)浜松支店に勤務していた2級建築士の男性(49)を有印公文書偽造・同行使容疑で浜松中央署に刑事告発した。告発は2月25日付。
市によると、建築士は07年4月~08年8月、市内の住宅8件について、市長名義の「適合証明書」を偽造して、確認申請書に添付。民間の審査機関に提出したとされる。また3件では、確認申請書の副本を偽造して、確認申請したように装って工事を進め、審査機関の検査を受けないまま引き渡した疑いも持たれている。
建築士は必要部分を切り張りしてコピーし、偽造したという。検査機関では原本でなくコピーで確認していたうえ、「精密に作られていた」(市都市計画部)ため、偽造を見抜けなかったとみられる。
昨年11月に、融資の調査をした金融機関から市に、物件と書類の内容が合わないとの問い合わせがあり、問題が発覚した。市は同社が03年以降に請け負った1041件を調査し、10件で偽造が確認された。建て替えや撤去につながる違反はなかったという。
同社は建築士を今年1月13日に解雇した。建築士は偽造を認めているという。同社広報部は「業務管理体制を抜本的に見直す」とコメントしている。【平林由梨】
実にさらっとした記事であるが、いろいろ腑に落ちない。
ここでは、刑事罰はおいておこう。
要点はこうである。
(1)積水ハウス浜松支店勤務の2級建築士(男性49歳)が、住宅が都市計画法に適合していることを示す市の証明書8通を偽造
(2)偽装の方法は、別の証明書を切り張りして偽物を作成し、コピーを確認検査機関に提出。確認検査機関ではコピーでも好かったので、偽造を見抜けず。
(3)さらに検査機関が発行する確認済証3通・検査済証2通も偽造。確認申請の手続きを一際せずに施主に引渡。
(4)積水ハウスは、建て替えなければならないような違反はないとして、確認済証などを再取得した。???
建て替えや撤去につながる違反はなかったという。となっていますが、結局やったもんがちですかね??
疑問
(1)処分された建築士は設計者か?
積水ハウスに限らず大手ハウスメーカーは、確認申請を外注することが多い。外注??つまり、その辺の設計事務所である。その辺の設計事務所とは言っても、そのHMと深い関係にあるところだろう。元社員とか?? で、その辺の設計事務所でもたいてい1級建築士なので、2級建築士が確認申請に関与することはまず無いと見ていい。
なのに、この49歳男性はかわいそうなことに「積水ハウス」に処分されてしまった。
(2)彼はなぜ偽装してまで書類を作ったのか?
前述の通りどうせ外注だ。面倒なこともない。もし、手続き通り進めたとしてもそれほど時間がかかるとは思えない。HMの規格住宅の確認申請なんて、どうせ提出先もHM出資のお抱え検査機関なわけだから、「はよして」って言えばはやくしてくれるはずである。なぜ、そんなリスキーなことをしてしまったのか?
もっとも大きな疑問
(3)「確認済証などを再取得した」ってできるの??
おい、ちょっとまて。じゃぁ、これからそうしちゃうよ。申請せずに建てちゃうよ。ってことになるじゃないか?
あの、ちょーめんどくさい建築基準法の改悪と建築士法の改悪は、こういったことを防ぐためにあったのではないか?姉歯君がしでかしたことが再発しないためにしたのではないのか? 姉歯君はダメで積水ハウスOKなのか?? なぜだ!!
まぁ、非常に裏を感じる。政治力か、結局世の中は。そして、49歳男性をトカゲのしっぽ切りで終わるのか。国交省は積水ハウスを処分しないのか。あのしちめんどくさい「管理建築士」の責任は問われないのか。書き出したらきりがないわ!!
どうしてくれるんでしょうね。新聞記事はいかにもさらっと書いているが・・・。
そして、私が冒頭に「消されたら困るのでね」とかいたが、実際に消されちゃうのよね。世に言う「もみ消し」です。
積水ハウスは広島市でも、2008年9月に同じようなことをしでかしているのです。でも、もうほとんどその記事は残っていません。
この毎日新聞へのリンク先も既にありません。毎日新聞で検索しても見つかりません。
かろうじてこの記事が残っていますが。
これが世に言う政治力なのかなぁ・・・
というわけで、業界紙(日経アーキテクチャー)のサイトから引用しておきます。リンクはこちら http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20080908/526029/
積水ハウスに広島市が工事停止命令、建築確認申請せず 2008/09/08
積水ハウスが、建築確認を申請しないまま広島市安佐南区でアパートの建設工事を進め、広島市から工事停止命令を受けていたことがわかった。
アパートは2棟あり、それぞれが軽量鉄骨2階建て、約260m2、4戸。積水ハウス広島東支店が個人の施主から仕事を受託した。ところが、設計を担当した同社の30歳代半ばの社員が確認申請を出さずに、架空の確認番号を現場に掲示して2008年5月、工事に着手した。
この社員は、架空の確認番号と確認取得日などを社内のコンピューターに入力していた。同社のルールでは、ほかの社員が確認済み証などの書類と照合することになっていたが、守られていなかった。
事件を起こした積水ハウスは事態を重く見て、完成間近だった建物を解体しているところだ。正規の確認申請手続きを行って、同じ設計でアパートを造り直す。9月4日には建築確認が下りている。
積水ハウス広報部では、「許可を得ていない建物だったので、施主の了解を得ていったん取り壊すことにした。担当者が確認申請をしなかった理由は調査中だ。今後は、社内のルールを徹底したい」と話している。
広島市によると、7月に付近で道路関係の調査をしていた安佐南区の職員によって不備が発覚した。市と広島県は8月に合同で、積水ハウスの広島東支店に立ち入り検査を実施。会社ぐるみの偽装ではないと判断した。瀬川 滋[ケンプラッツ]
どっちにしても、大きな事件なのにね・・・