子会社は叫ぶ―この国でいま、起きていること (単行本) – 島本 慈子 (著)

# 単行本: 234ページ
# 出版社: 筑摩書房 (2002/06)


3連続「本棚」投稿ですね。まずいですね。どうも最近移動時間が多くて本を読む時間がたくさんあるのです。つまり、それだけ動いていると言うことで・・・。


しかもここ最近まとめ読みした島本 慈子さんの著作。
2002年出版ながら古さを全く感じません。出版当時から5年たって、世の中の景気はどうもいいようなことを言われているが(政府発表だけでしょうが)、著者が懸念したとおりの世の中になって、格差・階級は広がるばかり。「今後どのようになるのでしょうか、この国は」と思わずうなってしまいます。


ホリエモン事件から私は「会社」が「社会」に与える影響、役割なんかについてたびたび当HPでもメモ書き程度にまとめてきました。(←このあたりは設計事務所のHPとは全く関係がないような感じですね。)


「会社」は「社会」にとってどんな存在でなければいけないのか。ただひたすら利益追求ばかりを求めていいのか。その「利益」とは誰の「利益」なのか。


私は、「利益」は間違いなく「社会全体の利益」だと思います。だから、当事務所も「社会全体の利益」にならないようであれば、その存在価値は無に等しいわけです。この事務所が依頼者から始まり、その周辺の人たち、さらにその周辺の人たちと、拡大してやがて社会全体の「利益」を生み出すような業務をしていかないと、仕事としておもしろみが無くなるのではないだろうか。も


と、単純に思ってしまうわけです。


そんななかでの「子会社」という役割を切実に感じた、非常によくまとめられた書籍です。
2002年の段階では雪印食品の偽装牛肉事件までがこの書籍に書かれていますが、その後も
三菱ふそうのリコール隠し(2003年)
美浜原発の蒸気漏れ事故(2004年)
JR福知山線脱線事故(2005年)
耐震偽装問題(2005年)
などなど、大きな事件を拾っているだけでも、社会は何ら変わっていないことがわかる。これらの事件と「子会社」というのがどの程度関連しているのか私は分からない。しかし、島本さんが警鐘を鳴らしたとおりの社会になっているのではないかと。


2003年には「六本木ヒルズ」がオープンしている。


社会と会社とのあり方について、少し立ち止まって考えた方がいいのではないかと、考え込んでしまった。