キーワード”マンションの売り方”

 最近立て続けにYahoo!の”マンションの売り方”というキーワード検索でこのホームページにたどり着く方がおられるました。どうやらYahoo!はコラム「マンションの売り方・買い方」を拾っているようです。


 このコラムで言うところの「マンションの売り方」というのはデベロッパーや分譲会社が一般消費者にマンションをどうやって売っているかをまとめたコラムです。とは言っても、そんな内容を求めているわけではないようですね。おそらく「マンションをいかに”高く”売るか」という技を調べたいと思って調べているのではないかと思っています。


 というわけでご期待に応えて「マンションをいかに高く売るか」という話をします。ってわけではないですが、土地や建物の価格について考えてみましょう。
 突然ですが税法上は、一般的な新築マンション(建物のみ)の法定耐用年数は47年とされています。しかし、最近「マンションの建て替え話」が頻繁に話題になりますが建て替え決議がされているマンションや建て替えを検討しているマンションのうち築30年そこそのマンションはかなりたくさんあります。


 「ん?マンションの寿命は30年か?」と思いませんか?私がいうのも何ですがそんなもんでしょうね。
 ちなみに、戸建て住宅も寿命は30年と考えておいた方がよいようです。以前、あるハウスメーカーの営業の方が堂々と「30年しか持ちません。」と言っていました。メーカーにとっては30年経てば以前の名簿から「そろそろ30年ですが、建て替えませんか?」と声をかけにいくでしょう。新築時30代だった夫婦もすでに定年間近。ところが、その子供世代が働き盛り。平たい言葉で言うと「金づる」。ここぞとばかり、「もう古いですよ、建て替えた方がいいですよ。」という話になるのは容易に想像がつく。


 コンクリートのマンションもそうかって?そうですよ。山陽新幹線のトンネルや鉄橋のコンクリート剥落事件は記憶に新しいと思いますが、コンクリートだって永遠不滅ではありません。必ず劣化します。学校の教科書ではコンクリートは100年と言われていますが、維持管理が悪いともっともっと短くなります。


 それより何より使い勝手が悪くなるのがマンション建て替えの最大の要因です。設備の問題、バリアフリーの問題、共用部分(屋根や廊下、階段、エレベーターなど)の問題などがのしかかり、住民が高齢化していきます。結局なんだかんだマンションという建物の価値はみるみる低下していくのです。


 なぜか。マンションは実にいい加減につくっています。それは建て売りでも同じです。いかに安く作って高く売るかというのが売り手の都合です。極端な話、見栄えだけよければ高く売れます。なぜなら、多くの人は見栄えしか気にしませんから。誰も構造体がしっかり作られているか、維持管理が安くできるかなどは見ません。


 それこそが、建物自体の価値を下げている理由です。買うときは「見栄えを気にして高く買い、売るときはそんなところがごまかせなくて安く売る」というシステムの中に飲み込まれているのが現状です。


 ということで結論としては「買ってしまったものを高く売ろうなんて考えないこと」です。自分が使った分だけ安く売るか、しっかり元を取るように住みこなしていくか。


 ちなみに、私が設計を頼まれたときは、後でなかなか変えられない基礎や構造体にしっかりとお金をかけて頂き、後からなんとでもなり、また定期的に取り替えないといけないような仕上げや設備については取り替えやリフォームがしやすいように予算に合わせて考えます。


 家は財産のようですがそうではありません。しかしその家で暮らすことはかけがえのない財産です。売るとか買うとかで思い悩むよりも、その暮らしをしっかり守ることの方が大事なように思うのは、私だけなのでしょうか?