さて、マンションの管理組合がコンサルタントを選ぶときはどうしたらいいのでしょうか、というのが今回の話題です。
マンションは、大規模修繕の時にどうやって進めていけばいいかというのも実に重要な事ですが、それに至るまでにも、管理組合運営の問題、新築後の瑕疵(不具合)の問題、住民間のトラブル、規約や修繕積立金の問題、管理会社との問題と実に様々なトラブルや問題があります。それらを管理組合が主体となって理事会などで対応できればそれに超したことはないのですが、理事とはいっても、専門家ではありませんしそれに専念できる環境でもありません。
そうなるとやはり誰か専門家に頼まなければいけないというのが一般的な対応方法になります。今は「マンション管理士」なる国家資格もできました。建築の設計事務所も相談に乗ります、などといっている事務所も増えました。管理組合から見れば選択肢が増えたわけです。
しかし、選択肢が増えたからといって両手をあげて喜べるほどマンション問題は単純ではありません。「マンション管理士」と言ってもみんな同じ仮面をかぶっているだけでその出身や素性は人それぞれです。建築を専門にしている人もいれば、法律を専門にしている人もいます。会計を専門にしている人もいます。また、資格ができたばかりで日が浅いので実務経験のない人も多いと思われます。さらに、マンション管理会社に勤めているなどの特定の会社に属する人もいれば、独立している人もいます。マンション問題に相談に乗ってもらう際はやはり第三者的に利害関係を伴わない人に依頼する方がいいに決まっています。その「第三者的」な専門家をどうすれば見分けられるのか、難しい問題です。
設計事務所も同じです。実務経験もなくたいした仕事がないのでやってみようか、と考えている事務所も少なからずあります。
では、どうやったらいい専門家が見つかるのでしょうか?
設計事務所の構成人数ですか? 資本金ですか? 見積の安いところがいいですか? マンションの仕事をたくさん手がけているところがいいですか? 事務所の大小や費用で選定するのはあまりいい方法とは思いません。
先の「設計者の選び方(個人編)」では、「何回か面談してよく見極めて」と書きましたが、マンションのコンサルタントも同じです。しかし、マンションという特性上なかなかそうも行かないのが実情ですので、ここではちょっとしたこつをお教えします。
やはり最初は知り合いに聞くとか、インターネットなどで調べるとかになるのでしょう。その最初のステップはやはりそうせざる得ないのが現状です。片っ端から調べ上げてみるのも手でしょう。
そしてまず、電話などでいま自分たちのマンションがどう困っているのかを簡単に伝えてみて下さい。その時にしっかりと相談者の状況などを聞いてくるか、「一度伺ってみます。」というかどうかを見て下さい。
その次にマンションの状況に合わせてではありますが、理事会に出席を依頼してみて下さい。あるいは、相談先から「理事会に出席させて下さい」と言われるかもしれません。
私たちはどんな専門家でもマンションの状況をしっかり把握しないと相談には乗れませんので、必ず建物の下見調査や書類調査に伺います。その時間は数時間程度です。そのマンションの下見調査に数名の理事やマンションの住民が立ち会って下さい。その時にマンション住民や理事会の気づいていない問題点を的確に把握しているのか、指摘してくれるのかを見てみて下さい。
また、理事会に出席してもらった折には、理事長だけでなく理事全員がまんべんなく質問してみて下さい。そのいずれの質問にもはっきりとわかりやすく説明してくれるかどうかを見てみて下さい。
これらのプロセスを経ると、だいたいその専門家が何が得意か自分たちの求めているものを提供してくれそうかがわかります。決して見積金額や事務所の大小で決めない方がいいです。住民とともに考えてくれる専門家を見つけること。それがマンションのコンサルタントを決めるときに大事な要素です。