# 単行本: 325 p ; サイズ(cm): 19 x 13
# 出版社: 日経BP社 ; ISBN: 4822282457 ; (2005/11/03)
最近「数学」にはまっている私のつい先日選んだ書籍です。
「数学」の得手不得手にかかわらず、皆さんが知っている円周率π=3.14・・・の、タイトル通り「伝記」です。「伝記」ということですから、πの成り立ちから成長、現在に至るまでを、実に軽快に、簡単な数式のみを用いて説明してくれています。その話しの進め方はなかなかのもので、著者の文章力に感じ入りました。少し残念だったのは、訳者がていねいに訳しすぎていることですかね。原文を読んでいないので分からないのですが、原文が「技術系」文章になっているのかもしれません。
私を含め、技術者や理系の人間が書く文章というのは、「誤解の生じないように」「一意であるように」といった文章になり、およそ文学的な文章からかけ離れます。文学的な文章というのは読み手をわくわくさせたり、読み手に意味を預けたりすることがおおいのですが、理系の人間は論文でも「A=B」「B=C」「C=D」だから「A=D」といったような科学的に明確で、誰が読んでも誤解が生じないように表現する訓練をされています。そういった人が文章を書くので、どうしてもまどろっこしい文章になったり、不明確なことを断定できなかったりする文章になります。
そんな雰囲気がこの本から感じ取れたのですが、それを除いても楽しい「伝記」だと思います。πの意外な一面を見ることができます。
と、ご紹介しておいて、個人的には少し物足りなかったなぁ(期待していたほどではなかったなぁ)と感じました(笑)。