同じ家なのにマンションと戸建てで対応が違うのは何故だ!

「姉歯建築設計・・・」と「経歴」「住所」などで検索されてこのページに来る方が多いのですが、「経歴」はまだしも「住所」を知ってどうするのでしょうか? ちなみに私はそういったことには興味がないですので、このページではそんなこと書いていませんので、そういった目的の方すみません。でもせっかくですから、少し目を通して考えていってください。
(本当に、住所が知りたかったらアンダーグラウンドなページへ行かれた方が賢明かと・・・。)


構造計算偽造事件がらみのニュースで私が気になったのをいくつかピックアップ。
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耐震偽造:武部自民幹事長が冷静な対応求める
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20051127k0000m010065000c.html

木造個人住宅2棟でも耐震強度を偽造
http://www.sankei.co.jp/news/051129/sha001.htm

耐震偽造:マンション住民に使用禁止命令へ 横浜市が初
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051126k0000e040032000c.html

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まずは、「武部幹事長発言」ですが、この方本当に失言がお好きなようですね。BSEのときでも懲りたはずなのに・・・。「悪者捜しに終始するとマンション業界がつぶれる。不動産業界もまいってくる。景気がおかしくなるほどの大きな問題だ」。ふ~ん。だから、悪者は探さずにそこそこ適当にしておこうよ、それが業界のためです。ということのようです。


まぁ、それが国民の皆様が支持した自民党の幹事長のご発言にあらせられるところですので、私のような平民が物申すのは恐れ多いので差し控えさせて頂きます。
ただ、この発言はいろいろな事件に隠れてほとんど取り上げないので、当の本人もほっとしていると思われます。これが、この国です。


2番目。「千葉県船橋市は28日、姉歯建築設計事務所が設計した木造3階建ての個人住宅2棟で新たに偽造が見つかったと発表した。」そうですが、どうせなら全国の建築士の提出している確認申請を同じぐらい慎重に正確にチェックしてください。膨大な量の偽造(?)と間違いが出てくると思います。ただ気をつけて頂きたいのは、確認申請が出されたからと言ってその図面通りできているとは限りません。それはいい意味でもです。確認申請後にこっちの方が合理的だなぁとか少し心配だから鉄筋のピッチを狭くしておこうとか、そういったことを考えて”良い方に”設計変更することは良くあります。(私は。)当然逆もあります。だから、だからこそ、”設計監理者”というのが物件毎に設置され工事中に合法的に建てられているかどうか、地震・火災の安全に問題なく建てられているかをチェックしているわけです。例え民間に確認申請業務を委託したとしても、そのすべての物件についてすべての工程でチェックします? できません。彼らは検査に来ても10分いたらいい方です。性能保証の検査員だってちらっと見たらそれでおしまい。鉄筋にメジャーをあてようとかそんな気すらありません。本来建築主が委託する設計監理者が行う業務を、税金を使ってします? 国や行政がそこまで面倒見ます? そうなったら、国選建築士なんかできたりして(←皮肉です)


3番目。「横浜市は26日、同市鶴見区小野町の分譲マンション「コンアルマーディオ横浜鶴見」(鉄筋コンクリート造10階建て、19戸)の住民に対して、建築基準法に基づく使用禁止命令を発令することを明らかにした。一連の問題で使用禁止命令は初めてとなる。市が独自に耐震強度を調査した結果、国土交通省の検査を下回る強度しかないことが判明したため。」とのこと。
あの~、マンションに限らず、建築基準法を満たせていない(構造的にかなり問題のある)住宅はたくさんありますが・・・。私のところに相談に来る欠陥住宅の物件でも何度も行政に相談に行きましたよ。そのたびに「あの~、その~、なんですねぇ~、う~ん。」という役所言葉連発で相手にもしてくれなかったんですが・・・。マンションには使用禁止命令が出るのに、戸建てには出ないのは、これいかに?
こんな写真を挙げておきます。(すべて私が調査・撮影したものです)

今年調査した建物。木造2階建てですが、筋かい(斜めの突っ張り棒)が釘でとめられている。平成12年の法改正以降、金物できちんととめることになっています。阪神大震災で筋かいがきちんととめられていなかったために倒壊した建物がたくさんあったからです。建売業者は未だにこういう手抜きをします。これなんか、「震度5程度」もつのかなぁ・・・?

とあるハウスメーカーの物件。鉄骨2階建てで筋かいが入っていますが、ボルトだけ申し訳程度につっこまれているだけ。ナットもなく締められていないと言うとんでもない欠陥。有名なハウスメーカーですが・・・

都心の狭小地に立つ鉄骨3階建て建売。柱と梁だけを鉄骨で中は完全に木造の工法。その柱と梁のつなぎ目もこんなずさんな状態。

まだまだありますが、この程度でご勘弁を。


最後に、この事件がらみで「公的資金」の投入があるかどうかということが議論されています。ここまで読まれた方はおわかりだと思いますが、だったら、上記のような戸建て住宅にも公平に公的資金を投入して頂くように願ってやみません。

上記のようなお宅は幸運にも補修されて今は問題のない住宅に住まれています。しかし、世の中には今回のマンションの住民と同様、欠陥とローンの両方を抱えて、出るにでれない方はたくさんおられます。マンション以外の問題点にも目を向けてほしいと思うのです。