春先の山火事と竹林──自然と防災を見つめ直す

山火事の実態:増加する春のリスク

2025年の春、日本各地で山林火災が相次ぎました。特に岩手県大船渡では約2,900ヘクタールが焼失し、避難者は4,000人を超える大規模な災害となりました。春は乾燥しやすく、風も強まる時期であることから、山火事が起こりやすい季節として注意が必要です。

今治で目撃した火災跡

愛媛県今治市でも、同時期に山林火災が発生しました。実際に現地を訪れ、焼け焦げた山肌と炭化した草木、焦土の匂いが残る現場を目の当たりにしました。山火事の爪痕が自然に与える影響は深く、回復には長い時間がかかることが実感されました。

春の竹林がはらむ“火”のリスク

春の新緑に混じって、竹の新芽がぐんぐんと伸びていました。タケノコとして親しまれるその姿は、私たちに春の到来を知らせてくれます。しかし一方で、竹は山の手入れが行き届かなくなると急激に増殖し、いわゆる「放置竹林」となって山の生態系や防災面に悪影響を与える存在になります。

竹は燃えやすい──その特性とは

通常、生木は水分を多く含み燃えにくいものですが、竹はその構造上、比較的燃えやすい素材です。特に枯れ竹は火がつきやすく、燃焼時に「パンッ」という破裂音を立てて火花を飛ばすことがあります。これは節の内部に閉じ込められた空気や水蒸気が加熱で膨張し、破裂するためです。

このような特性により、竹が多く繁茂している場所では、ひとたび火災が起きると延焼範囲が広がりやすくなる危険性があるのです。

竹林と林業:後継者不足の現実

農業における後継者不足が叫ばれていますが、林業も同様に深刻な問題を抱えています。林業従事者の数はこの40年で大幅に減少し、2020年時点で約4.4万人と、1980年代の3分の1以下になっています。さらに従事者の高齢化も進んでおり、山の手入れが行き届かなくなる地域が増加しています。

その結果として、手入れされない森林や竹林が放置され、燃えやすい環境が広がっているのです。

自然を守るために──今、できること

今回、今治で目にした山火事の痕跡や竹林の繁茂の現状は、私たちが自然との関わり方を見直す必要があることを示しています。竹林整備の推進、林業従事者への支援、地域防災意識の向上など、多方面からのアプローチが求められています。

農業・漁業・林業という一次産業に関わる人たちが増えることを願ってやまない、なんてことを、所詮三次産業の設計事務所がいうのも何だなぁと思うわけです。