シリーズ”ニッポンの住宅 ~住まいを手に入れる~” 2
あなたの住まいの設計・監理者は誰ですか?
 ~折り込み広告には表示されない設計・監理者~

(木造住宅の金物取付の様子、本文とは直接関係ありません。)

 

 前回は建築確認申請の話しをしました。その確認申請書の第二面には、建築主、代理人、設計者、建築設備に関し意見を聴いたもの、工事監理者、工事施工者が記載されていると説明しました。

 誰が安全性を確認しているのか?と前回は書いたのにもかかわらず、答えを書きませんでしたが、ここに記載されている全員です。建築主は一般の人もなりますので正確には正しくないかもしれません。建物を建てる時には、建築主と設計者と監理者と施工者がいて・・・なんて話しをしだすと収拾がつかなくなりますので、それぞれの役割については省略しますが、今のところここに書かれている人々全てが建物の安全性や遵法性を確認していると認識しておいてください。

 さて、質問です。
 あなたの今住んでいる家(所有している建物・住居・マンション)の設計監理者は知っていますか?
 答えられる方は合格です。答えられない方は今すぐ調べておいてください。

 一般の方は、建物を建てる時に何となく設計者というものが必要であると言うことぐらいの認識はあると思います。「設計事務所ってのは私たち庶民には関係のないところにいる人たちの話だ」と思っている方も、そのことは何となく知っていると思います。では、改めて聞きますが、あなたの家の設計者・監理者はだれなのでしょうか? 「うちはマンションだから。」「うちは建売だから。」「うちは中古で買ったから。」、と思われたかもしれませんが、マンションであろうと建売であろうと中古であろうと設計者はいたはずです。当然監理者もいたはずです。マンションの場合は大抵施工者は知っていると思います。当然分譲主(建築主)も知っていると思います。

 だのに、なぜか、設計監理者を知らないわけです。もっとも、週末になるとたくさんはいる建売住宅などの折り込みチラシには、設計監理者なんか書いていませんし、マンションのチラシだって下の方に読めるか読めないか分からないようなちっちゃい字でちょこちょこっと書いているにすぎません。まして、実際に購入する段になって、設計監理者は誰ですか?なんて売り主にも不動産屋さんにも聞かないし、関心もありません。売買の際に不動産屋さんがする重要事項説明書にもそんなことは書かれませんし説明されませんし。

 というわけで、住まいを手に入れる際に是非気にしてほしいことは、「その建物の設計監理者は誰か?」ということです。新築の場合は売り主に聞けば教えてくれると思います。知ったならば、設計監理者の連絡先や電話番号などを教えてもらい、「現場に何回見に行きましたか?」「現場でどんなところを見てどんな指示を出しましたか?」「施工者はきちんと工事をやっていましたか?」「中間検査や完了検査は受検しましたか?」などを聞いてみられたらよいと思います。設計監理者の連絡先を教えてもらうことは「プライバシー」にはあたりません。なぜなら・・・。

 ともったいぶっておいて、では中古だったり、売り主が教えてもらえなかった場合はどうしましょうか。簡単です。その建物のある市役所などの建築主事がいる特定行政庁に出向き、建築指導課などの建築確認申請を取り扱う部署に行き、住所を伝えて「建築計画概要書」を見せてもらってください。場合によってはコピーをしてもらってください。そこには、確認申請書の第二面と第三面、配置図が添付された資料があります。この資料は公開文書であり永年保存です。つまり、いつでも誰でもその資料を見ることができるわけです。その書類には、確認申請や中間検査、完了検査はいつ受けたか、合格証は発行されているか、その他の処分を受けたことがあるか、などが記載されています。

  「建築計画概要書」が公開文書である以上、そこに記載されている設計監理者の名前や事務所名、連絡先などはいつでも誰でも知ることができるわけです。

 あなたの今住んでいる家(所有している建物・住居・マンション)の設計監理者は知っていますか?
 答えられない方は、今すぐ建築計画概要書を見に行ってください。

 「設計監理者に関心を持つこと」がどんな建物になっているかを知る一つの方法です。

 最終回の(予定の)次回は、少し視点を変えて「建物に対して求めるもの」という話しをしてみたいと思います。