(コンクリートの受け入れ検査、本文とは直接関係ありません。)
最近世間では構造計算書偽造事件でにぎやかになっておりますが、この事件の背景にはいろんなものがありすぎて私は最近あまり興味が無くなってきました。もちろん純粋に建築技術者としての興味がありますが、一般の人からどんどん遠ざかっていっているような気がしてなりません。
このページを読んでおられる方も、関心がないわけではないでしょうが、「どこか遠くの話し、自分には関係のないこと、誰かがちゃんとやってくれるだろう。」と思っておられるのではないでしょうか。
そんなこんなで、私は改めて年末のばたばたした時期に、多くの仕事を積み残したまま、”ニッポンの住宅 ~住まいを手に入れる~”という「ニュース2●」みたいなシリーズ企画をはじめることにしました。といっても今の予定ではきっちりと3回で終わるつもりですので、年内にちゃんと終わってくれると思います(笑)。
さてこのシリーズの第一回目は、”誰がその安全性を確認しているのか”です。
建物を建てる時は、建築確認申請が必要であると言うことは、今回の事件で多くの皆さんが知ったと思います。ところで、その確認申請とはどんなものかというのは多くの人は知らない、見たこともない、と思います。確認申請書は建物の規模によって様々ですが、図面を除くと5面の紙に所要事項を文字で書きます。
第一面「表紙」
第二面「建築主や代理人、設計者、監理者、工事施工者」
第三面「場所、敷地の条件、建物の高さや広さ」などの敷地と建物の概要
第四面「建物の構造や階数、設備の種類や階毎の面積、屋根・壁・軒の種類など」
第五面「階毎の柱の大きさや梁の大きさ、梁の距離など」
確認検査はこの書類の他に、図面や構造計算書などが添付されます。規模によって構造計算書が不要な建物もあります。
第二面に注目してください。第二面には「建築主や代理人、設計者、監理者、工事施工者」の他に「建築設備に関し意見を聴いたもの」を記載します。建築主はその建物を建てようとした人で、誰でもなります。代理人というのは確認申請を建築主に代わって申請する人です。建築確認申請の手続きは規模によって分類されていますが建築士の資格が必要です。従って、建築主の委任を受けた人が代理人になるわけです。設計者はその建物を設計した人、監理者とは工事中に設計図面通り建築されているかどうかを確認する人、工事施工者は工事を施工する人となります。「建築設備に関し意見を聴いたもの」は大規模な建築物の場合に設備に関して意見を聴いた人を記入します。これには資格は不要です。
代理人と設計者、監理者は同じ人が兼任することが多いと思います。建物には少なくともこれだけの人の手が必要だと言うことが分かります。
この中の関係者全てが建物を完成まで見守るというのが原則です。しかし、実際には確認申請書類に名前はあるが現場には一度も来ない人がいるのも事実です。
本当はそれぞれの立場「設計」「監理」「施工」で設計図で意図した建物になっているかどうかを何度も確認する必要があるわけです。
というわけで、建物の安全性や遵法性を確認したのは誰か?に対して次回にもう少し掘り下げて説明したいと思います。