- Greeting -
「フェッセルン・アンサンブル第23回定期演奏会」にご来場いただきましてありがとうございます。おおよそ10年前に団体名を名付けましたが、フェッセルン(fesseln)はドイツ語で、【ひきつける,魅了する,とりこにする】という意味があります。そんなアンサンブルになれば、という思いを込めました。今まで23年やってきて、過去にお越しいただいた皆様を魅了できたのか、そして本日初めてお越しの方を魅了できるのか、いつまでたってもドキドキです。
23回のタイトルは、「YOHAKU~余白~」です。今回取り上げた曲は、一般的な完成された組み合わせのアンサンブルから、楽器を置き換えたり、減らしたりした変則的な組み合わせで構成された曲を中心にしました。形態が変わるとそこに「隙間」が生じます。それを「余白」と捉えて、その余白をどう演出するかをテーマにしました。実は、タイトル候補の一つに「侘び」というのがありました。わびは、質素なもの、不足しているものの中に美しさを感じる、ということですが、いわば「不完全な美しさ」ともいえます。
本日取り上げた曲は、モーツアルトのフルート四重奏曲ニ長調、クルーセルのクラリネット四重奏曲ニ長調、フィンジの5つのバガテル(小品)(クラリネットとピアノ)、リムスキー=コルサコフの五重奏曲変ロ長調(ピアノと木管楽器)です。フィンジのバガテルは、一般的なピアノと楽器の組み合わせですがそもそも楽器の数が少なくピアノと楽器一つは音色も限られてきます。その表現力は余白のかたまりです。フルート四重奏曲、クラリネット四重奏曲は弦楽四重奏のスタイル(2本のヴァイオリンとヴィオラ、チェロ)の1つのヴァイオリンをフルートやクラリネットに置き換えています。リムスキー=コルサコフは、木管五重奏のスタイル(フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、バスーン)からオーボエを抜いて、ピアノを加えています。いずれも何かが足りない、完成された形から見ると「不完全」であること。その不完全さを補うのが想像力で、それは奏者と聴き手に委ねられています。「余白」をどう聴くか、聴かせるか。
本日はお忙しい中、ご来場くださいまして誠にありがとうございます。心ゆくまで「不完全な美しさ」と「余白」をお楽しみ下さい。
23回のタイトルは、「YOHAKU~余白~」です。今回取り上げた曲は、一般的な完成された組み合わせのアンサンブルから、楽器を置き換えたり、減らしたりした変則的な組み合わせで構成された曲を中心にしました。形態が変わるとそこに「隙間」が生じます。それを「余白」と捉えて、その余白をどう演出するかをテーマにしました。実は、タイトル候補の一つに「侘び」というのがありました。わびは、質素なもの、不足しているものの中に美しさを感じる、ということですが、いわば「不完全な美しさ」ともいえます。
本日取り上げた曲は、モーツアルトのフルート四重奏曲ニ長調、クルーセルのクラリネット四重奏曲ニ長調、フィンジの5つのバガテル(小品)(クラリネットとピアノ)、リムスキー=コルサコフの五重奏曲変ロ長調(ピアノと木管楽器)です。フィンジのバガテルは、一般的なピアノと楽器の組み合わせですがそもそも楽器の数が少なくピアノと楽器一つは音色も限られてきます。その表現力は余白のかたまりです。フルート四重奏曲、クラリネット四重奏曲は弦楽四重奏のスタイル(2本のヴァイオリンとヴィオラ、チェロ)の1つのヴァイオリンをフルートやクラリネットに置き換えています。リムスキー=コルサコフは、木管五重奏のスタイル(フルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、バスーン)からオーボエを抜いて、ピアノを加えています。いずれも何かが足りない、完成された形から見ると「不完全」であること。その不完全さを補うのが想像力で、それは奏者と聴き手に委ねられています。「余白」をどう聴くか、聴かせるか。
本日はお忙しい中、ご来場くださいまして誠にありがとうございます。心ゆくまで「不完全な美しさ」と「余白」をお楽しみ下さい。
- Program -
W. A. モーツァルト
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
フルート四重奏 ニ長調 K.285
Flute Quartet in D major, K.285
Ⅰ.Allegro
II.Adagio
Ⅲ.Rondo
フルート :渡邊 真紀
ヴァイオリン :熊田 千穂
ヴィオラ :橋本 喜代美
チェロ :森田 尚美
B. H. クルーセル
Bernhard Henrik Crusell (1775-1838)
クラリネット四重奏 ニ長調 op.7
Clarinet Quartet No 3 in D major op. 7
Ⅰ.Allegro non tanto
II.Un poco largo
Ⅲ.Menuetto
Ⅳ.Finale. Allegro
クラリネット :橋本 頼幸
ヴァイオリン :熊田 千穂
ヴィオラ :橋本 喜代美
チェロ :森田 尚美
< 休憩 ~ Intermission ~>
G. R. フィンジ
Gerald Raphael Finzi (1901-1956)
クラリネットとピアノのための 5つのバガテル Op.23
Five Bagatteles Op.23
Ⅰ.Prelude
Ⅱ.Romance
Ⅲ.Carol
Ⅳ.Forlana
Ⅴ.Fughetta – Allegro vivace
クラリネット :橋本 頼幸
ピアノ :手嶋 有希
N. リムスキー=コルサコフ
Nikolay Rimsky – Korsakov (1844-1908)
五重奏 変ロ長調 (ピアノと木管楽器のための)
Quintet in B-flat major
Ⅰ.Allegro con brio
Ⅱ.Andante
Ⅲ.Rondo. Allegretto
フルート :渡邊 真紀
クラリネット :橋本 頼幸
バソン :瀬尾 哲也
ホルン :杉村 由美子
ピアノ :嶋田 法子
- Program Notes -
フルート四重奏 ニ長調 K.285
モーツァルト
小さなモーツァルトが、父親に連れてこられたシェーンブルン宮殿で、美しい女性たちに胸躍らせ、茶目っ気たっぷりに駆け回る1楽章。宮殿の入ってはいけないところにも入り込み、大人に見つかって大目玉。ごめんなさいと謝るも、通りかかった美しい女性に見とれて気はそぞろ。そんな様子を小鳥たちがさえずりながら見守っている。2楽章。涙雨の音が響く聖堂でひとり静かに祈りを捧げている女性。静謐な空気が辺りを包む。何かを訴えようとしたその時…。ところ変わって3楽章はまたシェーンブルン宮殿。庭のブランコや滑り台(今あるのとは違うかな?)を貴族のかっこうをした子どもたちが大はしゃぎで駆け回る。そんな情景を妄想しながら、自分も子どもにかえった気分で演奏したいと思う。
(M.Watanabe)
クラリネット四重奏 ニ長調 op.7
クルーセル
クルーセルはスウェーデン系フィンランド人のクラリネット奏者で作曲家。語学も堪能でモーツァルトのフィガロの結婚等各国の重要なオペラをスウェーデン公演用に翻訳、業績は高く評価されています。本日は3曲ある弦楽器との四重奏のうちの1曲を演奏します。冒頭は弦3部が朗々と豊饒で優雅な音楽で幕を開けます。個人的な印象としてはヨーロッパの緑豊かで温かみのある田舎の風景のようで、堂々たる風格も感じる8小節の後、満を持してクラリネットが登場します。クラリネットの技巧的に魅せる点は当然素敵ですが、弦各楽器とのアンサンブルは一貫して洒脱で小気味よく、知的で優雅に会話をしているようです。クルーセルと共に優雅な午後の時間を是非お楽しみください。(C.Kumada)
クラリネットとピアノのための 5つのバガテル
フィンジ
『パガテル』とは『ちょっとしたもの』という意味で、ピアノ小品に用いられる名称です。フィンジはイギリスの作曲家で、彼の少ない室内楽曲の内、この『5つのバガテル』はしばしば演奏されます。我々フェッセルンでも、2015年にアンコールでCl+Vn+Vc+Pfで5楽章を演奏しました(橋本さん編曲)。この曲は他にもFl+Pf、弦楽四重奏+Cl、弦楽オケ+Cl、木管アンサンブル等様々な編成でアレンジされる事が多く可能性を秘めた曲です。フィンジはバークシャー州の大自然の中で作曲と林檎の栽培に専念。7歳の頃に父親、また兄弟や恩師を亡くした事から、音楽や自然の中に心の拠り所を見出したのではないかと思います。この曲の優しく切ない旋律は、美しい田園風景を想い起こさせるでしょう。
(A.Teshima)
五重奏 変ロ長調(ピアノと木管楽器のための)
リムスキー=コルサコフ
ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフはロシアの作曲家で、27歳の時にペテルブルク音楽院の教授となりましたが、その前に、海軍の軍人でありながら独学で音楽を学び交響曲まで作曲しました。この五重奏は32歳の時の作品ですが、この頃は合唱曲や室内楽曲が多く、あまり有名な曲はありません。年表的にちょっと「余白」な時期ですが、この頃の経験が、後の代表作品「交響組曲《シェヘラザード》」等での巧みな管楽器使用に結びついているのではと思ったりします。この五重奏でも各楽器に印象的なソロやカデンツァが用意されていてその片鱗を感じさせます。(おまけの豆知識:彼には有名な弟子が数多くいますが、その中に金須嘉之進という日本人の弟子が。この金須氏の弟子が「六甲おろし」作曲者の古関裕而氏。)(T.Seo)
- Members -
渡邊 真紀(Maki WATANABE); フルート
まきまき様は、ここ数年で管楽器陣営を従え、今回ついに弦楽器チームもその配下に。今後、Cl橋本氏との覇権争いに目が離せません・・・なんて裏話はもちろんなく、憎めないキャラまきまきが君臨するとしたら、マスコットorゆるキャラ枠。今回も、銀(一部金)の煌めきと癒しの音色から目と耳が離せないかと。
熊田 千穂(Chiho KUMADA); ヴァイオリン
ちほりんは私がフェッセルンに参加してから知り合いました。練習では穏やかで暖かい人柄がそのまま出るようなご挨拶を交わして・・・はい、実はまだ一緒に曲を演奏したことがありません。今日は観客の一人としてすてきなヴァイオリンを楽しみにしていますが、機会があればぜひ一緒に演奏しましょう。
橋本 喜代美(Kiyomi HASHIMOTO); ビオラ
いつも冷静沈着で無駄な話はしないきよみさん。多忙な旦那さまへのさり気ないサポートも流石で、私の尊敬する人物像です。今回は一緒に演奏しませんが、裾で応援しつつ演奏を楽しみにしています!
森田 尚美(Naomi MORITA); チェロ
昨年に続き二度目の登場、福ちゃんこと森田さん。練習日は早めに来て個人練習&細身ながらボリュームランチを軽く平らげ、全体練習に備えます。基本真面目・努力家の一方で、メールの行間に垣間見えるユーモアも彼女の魅力。昨年懸念していた手術を無事終え、パワーアップして帰ってきた福ちゃんのチェロの音色を皆さんお楽しみくださいね。
橋本 頼幸(Yoritaka HASHIMOTO); クラリネット
毎クール10本以上のドラマを観ているので、どんだけドラマ好きなんだ!と思っていましたが、何と彼には壮大な野望があることが判明。それは、映像作品をプロデュースすること!しかも、大河や朝ドラのような大作を狙っているらしい。そのために日夜研鑽を積んでいる、尊敬に値する人です。
手嶋 有希(Aki TESHIMA); ピアノ
普段は控えめであまり前に出ず、演奏会の衣装も『黒でいいです』と言ってしまうタイプの彼女。今回のフィンジは控えめだけど繊細にかつ時に力強く聞かせてくれる、芯のしっかり通った彼女の人柄のような曲です。回を重ねるごとにパワーアップしてより繊細になった、彼女のピアノに注目です。
瀬尾 哲也(Tetsuya Seo); バソン
せをちょんの奥様は結婚式の日、結婚した理由を「スノーマンのような包容力があったから」と可愛らしく語った。「??」その時はピンと来なかったが、今は言える。その出で立ちはまさにスノーマンだ。せをちょんは周りのみんなを包んでしまうほどの偉大なスノーマンになった。いつも気遣ってくれてほんとありがとうね♪
杉村 由美子 (Yumiko SUGIMURA); ホルン
オーケストラ、吹奏楽にと引っ張りだこの杉村さん。お休みの日も忙しそうですが、今年の目標はお着物を着てお稽古にいく事だそう。京都に住み始めてお茶を習い始め、昨年は京都国立博物館のお茶室を借りて本格的な茶事をされドキドキだったとか。今年はお着物を着て、もっとドキドキ楽しんで下さいね!
嶋田 法子 (Noriko SHIMADA); ピアノ
今回初登場のつくねさん。ピアノ弾きでありながらヴィオラもOKという二刀流。
「遺留捜査スペシャル」にヴィオラで出演されました。本日は曲調もさることながら、フェッセルン史上のピアノの中でも一、二を争うパワフルな演奏をお楽しみください。紙面の都合、なぜつくねさんなのかはまたの機会に~。
いつも、どんなことでも「不完全」です。
不完全は言い換えると「余白」なのでしょう。
何にでもなれる、想像で補うことができる。
何にでもなれる、想像で補うことができる。
そう。完成してしまうと面白くないですから、
と、強がってみました。
と、強がってみました。